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運用を考えて実装するコスト

「どんなに悪い事例とされていることでも、それが始められたそもそものきっかけは立派なものであった。」 (ユリウス・カエサル)


犯行予告の収集・通報サイト - 予告in http://yokoku.in/


予告.inのことを見ていたら冒頭の言葉が思いだされました。 「数億円かかるとか大臣はのたまうが、うちがすぐにつくっちゃる!」 と完全な善意で構築されたものですが...

予告.inもそろそろ威力業務妨害 - novtan別館 http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080805/p2

予告.in自体に悪意がない、ということがいつまで免罪符になるのかには興味がある

しかし、批判の記事も出てきた今「なんでこんなことになってしまったのか」「批判されるような現状に陥いらずにすんだのか」を考えてみたくなったので、みました。

スタートライン

以下、孫びき。

矢野さとるは数億円の税金の無駄遣いを止めたのかもしれない。 - VENTURE VIEW http://v.japan.cnet.com/blog/murakami/2008/06/12/entry_27004188/

[2008/06/11 20:57:32] satoru.netの発言: たぶんソリューションとコミュニティーの2つの要素でやるべきと考える.. [2008/06/11 20:57:48] fukuyuki MURAKAMIの発言: と、ゆーと? [2008/06/11 20:57:54] satoru.netの発言: つまり人海戦術で集める情報とロジック的に 殺す 殺人予告 とかであつまってくるURLを分析する2軸でやったほーが確実だとおもう

孫引きここまで。

・システムで対応する部分「殺すなどのワードでひっかかったURLの分析」 ・コミュニティで対応する部分「人海戦術で集める情報」 が明示されています。

問題が起きているのは後者の運営、運用のようです。

運営の問題

今となっては、結果論ばかり。

他人の善意を頼る運営の危険性

犯罪予告を取り扱うというのは、センシティブなことですから、

  • コミュニティ側の人間は実名で活動する
  • ユーザ・パスワードによる認証をする

といった回避策が必要だったかもしれません。

匿名の悪意なんだか善意なんだかの様相を示しています。

通報に関する基準を作らなかったこと

通報に関する基準を設けて、できれば警察のひととコンセンサスをとっておけばよかったんじゃないでしょうか。 脊髄反射で通報を行なっているようにしか見えない、現状では。

犯行予告を共有するサイト「予告.in」はもう限界に達している - GIGAZINE http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080731_yokoku_in_limit/

つまり、「犯行予告を収集する」のが本来の目的であり、それを見て通報するかどうかは利用者の判断にゆだねられるべきであって、たった一人の個人が判断すべきものではない、というわけ。判断できる限界を突破してしまっているがゆえに、拡大解釈を行って、犯行予告っぽいものは警察にとにかく通報しまくる、という現状になっているのです。

運用のことを考えるコスト(時間・費用)

システムを企画するとき、サービス、機能と同時に、「運用を始めたら、どういうイベントがあるのか?」ということを考える必要があると思います。イベントをリスクと言い換えてもいいかもしれません。 これを考えておかないと、あとで痛い目を見ます。 もしかしたら、盛りこむべき機能・設計に跳ねる事項かもしれないからです。

たとえばgoogleであれば、たくさんのユーザが同時に検索したり、サーバを追加したりなどといったイベントを考慮しないで設計・実装していたら... 検索結果の評判を聞いたユーザが殺到した時点で、レスポンスが落ちて、それ以上ユーザが増えなかったかもしれません。 Webページの情報を増やすことができなくなって、そもそもの売りであった検索結果の品質が下がってしまったかもしれません。 現在のgoogleではなかったでしょう。

身近でも、隣のサーバが保守期限切れで更改されることを考えていないシステムとか、Oracleのサポートが切れることを考えていなかったりとか、あるからなぁ。

もしかしたら、「数億円」のなかにはそういった「運用開始後のことを考えるコスト」も含まれていたのかな...と考えてみたり。

おこがましくも評価

予告.inが俺も死ぬほど嫌い http://anond.hatelabo.jp/20080803232429

それで解ったんだけど、ああ、この人は自分が運営しているサイトが起こす問題を 仮定して、検証する作業もしてなかったんだなーとびっくりした。

予告.inの場合、スピード重視で機能面を満たしたシステムを見事に作りあげました。XSSへの対応も迅速だったと思います。 ただ、XSSに対応したような労力を多少なりとも割いて、先に上げた2点について、途中で軌道修正することもできたと思うのです。 運営を続けていくのなら、今からでもやるべきだと思います。

ただ、予告を集める場を作るということをやっても、ほとんど役に立たないということがわかった点は、それほど「悪い事例」ではないとは思います。 2億円の無駄遣いを防いだわけですから。

予告なしで凶行を実行する輩には、まったく無力でしたし。 悲しいけど。