手のひらサイズの美しさ 『万年筆の生活誌―筆記の近代―』 国立歴史民俗博物館

展示内容

国立歴史民俗博物館で開催されている企画展示「万年筆の生活誌~筆記の近代~」を見てきました。 行く前は「万年筆の展示なんてどうやって見られるものにするんだろう?」「ただ、万年筆を並べてどやあ!ってことはないよなあ」と不安半分だったのですが、楽しむことができました。端的に言って「文房具マニアの所業」と言ってもいい展示だと思います。

企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館

展示は、日本における万年筆の普及と定着を順を追って説明し、その後、蒔絵が施された万年筆の展示、著名人の使っていた万年筆やその肉筆、戦時中の手紙、戦没者が持っていた万年筆などが展示されています。今となってはわからないくらい、生活に万年筆が密着していたのだなと感じさせられます。 蒔絵の万年筆をじっくり鑑賞することができるので、図録も思わず購入してしまいました。

今度高校生になる息子は「1970年代、中学生向け雑誌の年間購読特典が万年筆だった」という展示をみて、羨ましがっていました。 下の画像は、展示図録からのものです。

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そういえば、今では、就職のお祝いに万年筆を贈るなんてことも見かけなくなったような気がします。 妻は、なにか思うところがあったらしく、帰宅して、入学祝いに親戚から贈られたパーカーの万年筆を、引っ張り出してきました。

あつらえる

展示の中でとても印象に残った言葉として「あつらえる」とうものがあります。 展示パネルから引用します。

あつらえる、ということばは、現在の私たちの暮らしのなかで、ほとんど現実味を失ってしまっている。 かつては、着物や服、靴は、自分の身体にあわせてあつらえるものであったが、今では、予め細かく決められたサイズを選び、どちらかというと自分をそれに合わせている。 そして、あつらえることは、一つの贅沢になってしまっている。

万年筆はペン先が個人の書き癖によって変わっていき、自分好みの状態になる筆記具です。 自分の手になじむようにしていく過程そのものがこだわりのポイントであり、楽しみのポイントなのだと思います。

文章をつむぐ道具という意味では、パソコンが普及する以前と今では「万年筆」がおかれている地位は随分変わってしまっています。 私が一番文章を書くのにつかっている「筆記具」はパソコンのキーボードということになるでしょうか。 一番長く使うオフィスのキーボードには、それなりに高いものを購入して使っています。 これも往時であれば、万年筆へのこだわりになっていたのでしょうか。

あと、スマートフォンがありました。私は、Android搭載のスマートフォンを長く使っていますので、ホーム画面のアイコンの並びやウィジェットで 表示する内容など、自分に馴染むように変更しています。また、カバーやストラップに凝るのも長く手にもつツールとしてのこだわりと言えるような気がします。

武士の時代だと「刀」がそのこだわりの対象だったのかなとも感じます。拵にこったり、吊るし方ひとつとっても、こだわりのポイントがきっとあったことだろうななど想像したりします。

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..こんなことを書いていたら、図録の最後のほうのコラムで、研究員の方(松田のクレジットあり)が、似たようなことを書かれていたのを見つけてしまい、ちょっと笑ってしまいました。 1970年代に生まれ、人生の途中からパソコンやスマートフォンがどんどん台頭してきたのを体感してきたために、似た感慨を持ったのかもしれません。

体験コーナー

体験コーナーでは、ミュージアムショップでも発売されている「満寿屋」の限定一筆箋にLAMY、パイロット、ペリカン、セーラーの各社学習者向け万年筆の書き比べをすることができます。 妻、息子はセーラーのハイエースネオの書き心地を非常に気に入っていました。なお、私は、一筆箋に今度幼稚園年長になる娘にあてての手紙をしたためたのですが、興味を持ってくれませんでした。(;^ν^)ぐぬぬ…

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隣の席にきた年を召された方が「昔の事務室にひとり一つはこういうインクを吸い取るためのものがあった」と懐かしがられていました。 帰って検索してみたら、今でも売られているようです。今では万年筆のインクというより、はんこの朱肉を抑える用途のほうが多そうです。 はんこもなくなってしまったら、いよいよ「ブロッター」というものは愛好家の間だけで使われる道具になってしまうのかもしれませんね。

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コレクト ブロッター 木製 生地塗 P-205

コレクト ブロッター 木製 生地塗 P-205

コクヨ 吸取紙 寸法60x227mm 16枚入 シム-1N

コクヨ 吸取紙 寸法60x227mm 16枚入 シム-1N

ミュージアムショップ

国立歴史民俗博物館のロゴが入ったKAKUNOに、満寿屋の一筆箋、展示図録を購入しました。

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また、限定色のインクですが、下記の仮像の通り、売り切れで係員に問い合わせました。 先払いで注文すれば後日送っていただけるとのことでしたので注文しました。ターコイズ楽しみです。

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この展示企画された学芸員の方は、さぞかしいきいきと限定インクや満寿屋とのコラボ商品、限定万年筆の企画までされたことと想像いたします。 めっちゃ楽しんでるでしょう、これは。

はしごするなら...

なお、国立歴史民俗博物館の近く徒歩10分ほどのところにには刀剣の展示で有名な「塚本美術館」があり、ハシゴが可能です。 万年筆と同じように職人の技がつぎ込まれた刀を鑑賞するのも、またよいのではないでしょうか。

塚本美術館 | 千葉県佐倉市公式ウェブサイト

それにしても、蒔絵万年筆を見て、刀を見ると、拵を作る技でスマートフォンカバーとか財布や名刺入れができないものかななんて思ってしまいます。

スマートフォンでの広告非表示で通信量削減を目指す

動機・目的

スマートフォンを使っていて、イラっとするのは、それほど広くない画面に広告がずらずらと表示されているときなのであります。 Wifi経由ではないとき、通信量は1ヶ月あたり○GBという契約になっています。 この画像データの通信に通信量にカウントされるのかと思うと腹が立つものです。というわけで、携帯回線経由の通信の際に広告を排除する、かつ、できれば、画像などを圧縮して通信量の削減をはかろうというコンセプトです。

手段

上記の目的を達成するために用いられる手段としてプロキシ導入があります。 かつてWindows上では、Proxomitronというプロキシを導入していたものです。

スマートフォン (Android)上で Proxy

FilterProxyというアプリケーションを使っていました。Android端末上で動作します。動作も軽快です。 広告ブロックぶりもよいです。

play.google.com

ただ

  • すべての通信がFilterProxy経由となるため、アプリケーションごとの通信量が把握しづらくなる点
  • 動作が軽快とはいえ、電池動作の端末でCPUパワーを使う点

が気になったので、サーバ上に処理を移すことを検討します。

サーバ上でプロキシ

VPSを契約していますので、そちらで動かそうということです。 下記のサイトを参考に、役割分担は以下のとおりです。

  • アクセス制限・認証 → Squid
  • 圧縮 → ziproxy
  • 広告フィルタ → privoxy

blog.asial.co.jp

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かぎっ子だったときのルールを思い出してみる(1980年代後半)

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1978年生まれの私ですが、子どものころ両親は共働きであり、親戚の家ですごす→3歳から保育園→小1から学童→小4から学童もないという環境で育ってきました。 小1の学童も、両親どちらかが帰ってくる前に終わって帰宅してしまうので、即かぎっ子デビューとなりました。

かぎっ子であるということ

そんなことを思い出したのは下記のツイートがきっかけです。

登校時には登校班ということで、近所の子たちと一緒でしたが、学童終わって帰りは一人です。 わが身の安全を守ることと、家を危険にさらさないのがポイントだったのだなと思います。

以下、携帯電話がある今とは条件がかなり異なるとは思いますが、当時のルールを思い出しながら書いてみます。

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自宅Raspnerry PiとVPSに導入したSoftEtherのアップデート作業メモ

VPNを構成し、自宅(マンションで入っているプロバイダを利用しているためグローバルIPを保持できない)へのアクセスをするためにVPSと自宅ネットワーク内のRaspberry Piの間でブリッジ構成を組んでいます。

構成の概要は下記です。
10.11 SecureNAT 機能を用いた権限不要のリモートアクセス - SoftEther VPN プロジェクト

それぞれ環境を構築した時点でのバージョンは4.12でしたが、RTMのバージョンが4.18となっていましたので、環境のアップデートについて、備忘のため記録を残しておきます。

アップデートする環境

  • VPS
    • OS:Ubuntu Linux Server 12.04
    • CPU:Intel
    • SoftEther Server
  • 自宅Raspberry Pi
    • OS:Raspbian Wheezy(Linux)
    • CPU:ARM EABI
    • SoftEther Bridge
  • 管理用PC
    • OS:Windows10
    • CPU:Intel
    • SoftEther Manager
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2016年やりたいこと・守ること

ここで宣言しても、優先順位は月日の経過で変わっていくとは思うのですが、 今の時点で考えていることを書き残しておきます。

  • やりたいこと
  • 守ること

の2つのかたまりで考えます。

やりたいこと

昨年やりたかったができなかったこと

  • 『少女革命ウテナ』(アニメ)を見る

『とりかえ・ばや』で、さいとうちほ作品を読んだタイミングで、国立新美術館での「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」を見に行きました。最初のエリアで『少女革命ウテナ』のアニメを紹介していました。で、見ている間に、「あーこれ、まどか☆マギカにつながる流れあるな…」と思い、あらためて見たくなったのですが…

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2015年よく聴いた気がする曲ランキング

2015年も終わりを迎えようとしています。 今年のまとめとして、2015年の間によく聴いたような気がするなあという曲のランキングをまとめます。

選曲方法

  • 参考にするのは、Last.fmの再生回数
  • 1アーチスト1曲
  • 大事なのはあくまでも「聴いた気がする」印象
  • YouTubeなどに動画があること

www.last.fm

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東洋経済2015大予測を振り返る

年の瀬もせまり、2016年の展望を掲載する経済誌や本が売られる季節となりました。

週刊東洋経済 2015年12/26-2016年1/2新春合併特大号[雑誌]

週刊東洋経済 2015年12/26-2016年1/2新春合併特大号[雑誌]

毎年の風景なのですが、去年の今頃はどんな予測となっているのか振り返るべく、昨年の東洋経済より「2015大予測」と銘打った記事を確認してみたいと思います。テーマは検証のしやすさから日本経済を選びました。

年始に出題・回答を行い、年末に答え合わせをする「クイズ正解は一年後」という、番組がありますが、要するにちゃんと答え合わせしようよということです。

www.tbs.co.jp

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