その3の続き
元のテキスト https://www.w3.org/History/1945/vbush/vbush.txt

そろばん

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しかし、思考の反復的なプロセスは、算術や統計の問題に限定されない。実際、確立された論理プロセスに従って事実を組み合わせて記録するたびに、思考の創造的な側面は、使用されるデータとプロセスの選択にのみ関係し、その後の操作は本質的に反復的であるため、機械に委ねるのに適した問題である。算術の範囲を超えて、これらの線に沿って行われたことは、状況の経済性のために、行われたかもしれないほど多くはない。ビジネスのニーズと、明らかに待っている広範な市場は、生産方法が十分に高度になるとすぐに、大量生産された算術機械の出現を保証した。
高度な分析のための機械では、そのような状況は存在しなかった。なぜなら、広範な市場はなく、現在もないからである。高度なデータ操作方法のユーザーは、人口のごく一部である。しかし、微分方程式、そしてついでに言えば、関数方程式や積分方程式を解くための機械はある。潮汐を予測する調和合成機など、多くの特殊な機械がある。科学者の手に最初に、そして少数で現れるであろう、さらに多くの機械が登場するであろう。
もし科学的推論が算術の論理プロセスに限定されていたら、私たちは物理的世界の理解において遠くまで進むことはないであろう。確率の数学を使用するだけでポーカーのゲームを完全に把握しようとするのと同じことである。平行なワイヤーにビーズが張られたそろばんは、アラブ人を他の世界より何世紀も前に位置記数法とゼロの概念に導いた。そしてそれは便利な道具であった - それはまだ存在しているほど便利である。
そろばんから現代のキーボード会計機までは遠い道のりである。未来の算術機械への道のりも同じくらいのステップになるであろう。しかし、この新しい機械でさえ、科学者を彼らが行く必要のある場所に連れて行くことはできない。それを使用する人々が、確立された規則に従った反復的な詳細な変換以上の何かのために脳を解放するためには、高等数学の骨の折れる詳細な操作からの解放も確保されなければならない。数学者は、数字を容易に操作できる人ではない。しばしば彼はできない。彼は、微積分を使用して方程式の変換を容易に実行できる人でさえない。彼は主に、高レベルで記号論理を使用することに熟練した個人であり、特に、彼が採用する操作プロセスの選択において直感的な判断力を持つ人である。
他のすべては、彼が車の推進をボンネットの下の複雑なメカニズムに自信を持って任せるのと同じように、彼のメカニズムに任せることができるはずである。そのとき初めて、数学は、原子論の増大する知識を化学、冶金学、生物学の高度な問題の有用な解決にもたらす上で実際に効果的になるであろう。このため、科学者のための高度な数学を扱う機械がもっと登場するであろう。それらのいくつかは、現在の文明の人工物の最も気難しい鑑定家を満足させるのに十分奇妙なものになるであろう。
解説
このセクションでは、機械が単なる計算ツールではなく、より複雑な思考プロセス、特に反復的かつ論理的な操作を支援することで、人間の知的活動を根本的に変革する可能性を示唆しています。ただし、そのためには、数学的記号体系の改善や、膨大な情報からの効率的な「選択」の仕組みが不可欠であるという課題も提示されています。
私が最初にMemexという概念を知った2010年時点では、ピンとこなかった「選択」の仕組みですが、今や使いこなしの段階に入ってきているような気がします。画像の検索も計算機の力を借りて、だいぶスムーズにできるようになりましたね。
その5に続く