
10年から15年ほど前に自分が書いたブログを読み返す機会がありました。『信長の野望』や『ジンギスカン』、果ては『遙かなる時空の中で』や『金色のコルダ』(光栄のゲームばっかりや…)を持ち出して、仕事の進め方をとらえようとしていた自分の姿がそこにはありました。
今、ゲームのルールは少し変わったかもしれませんし、SlackやTeamsでのコミュニケーションが主になり、働き場所も自由になりました。けれど、仕事という「ゲーム」の根幹にあるOSのようなものは、実は何も変わっていないのではないか、と。
そこで今回は、あの頃の自分が書き散らした3つの記事を、一本の「統合版」としてまとめてみたいと思います。
1. まずは己を知ることから。シミュレーションゲームに学ぶ「自分のものさし」の作り方
キャリアは、壮大なシミュレーションゲームです。そして、このゲームの主人公は、他の誰でもない自分自身です。まず最初にやるべきことは、攻略本を読むことではありません。主人公である自分の「能力値(ステータス)」を正確に把握することです。
➤ 自分の「能力値」を把握する
ゲームだとステータス把握の画面があるが、現実世界にはそれが存在しない、という話をしましたが、現実世界ではこの点が一番難しいポイントなんだなと10年の時を経てより強く感じるようになりました。自分の立ち位置、スキル…仕事も同じで、一人で完璧な成果を出すのが得意なプレイヤーもいれば、多くの人を巻き込んで大きなプロジェクトを動かすのが得意なプレイヤーもいます。
大切なのは、自分がどのタイプかを知ることです。それが、キャリアにおける「自分のものさし」の目盛りの一つになります。他人のものさしも参考にしつつ、自分の価値を測るためのものさしを作っていきましょう。
➤ 「何もしない」という戦略的コマンド
「蒼き狼と白き牝鹿」では、どんな行動も「体力」を消耗します。無計画に行動を繰り返せば、体力は尽き、重要な局面で動けなくなります。僕は当時、これを「どんなに忙しくとも、自分の能力を高める機会を確保しないことの危険性」と書きました。
当時より年齢を重ねた今、これはもっと深い意味を持つと感じています。それは、意図的に「何もしない」時間を作ることの重要性です。
常にタスクに追われ、情報をインプットし続ける状態は、体力を消耗し続けるのと同じです。時には立ち止まり、あえて「何もしない」というコマンドを選ぶ。その余白の時間こそが、すり減った思考力を回復させ、自分の「ものさし」が狂っていないかを確認・調整するための、唯一の時間なのです。
2. 他のプレイヤーを理解する。対人ゲームに学ぶ「人間関係」の歩き方
自分の能力値を理解し、ものさしを調整したら、次はいよいよ他のキャラクターとの関わり方です。
➤ 相手の「攻略情報」を集める
職場の上司や同僚は、それぞれ異なる思考や価値観を持つ、手強い「キャラクター」です。彼らを攻略するには、まず相手を知ることから始まります。
恋愛ゲームを例に「相手の性格と立場から気に入りそうなセリフを考える」と書きました。これは、相手が何を喜び、何を評価の対象とし、何を地雷とするのか、その「攻略情報」を日々のコミュニケーションから集めるということです。その情報があれば、提案や報告(ダイアログ)が相手に「響く」確率は格段に上がります。
➤ 「イベント」を発生させ、関係を深める
ゲームでは、特定の行動が「イベント」を発生させ、キャラクターとの関係を深めます。仕事も同じです。ただ待っているだけでは、関係は進展しません。
「気を遣って話を聞かないのは損」と、当時書きました。今なら…こう言うでしょう。「自分から積極的にコミュニケーションを取ることで、ポジティブなイベントを意図的に発生させましょう」と。小さな相談、的確な報告、気の利いた情報共有。その一つ一つが、信頼という名の好感度を上げるイベントなのです。
➤ 誰の「ルート」を選ぶのか?
社内には様々な力学や、時には「派閥」のようなものが存在します。誰と関係を深めるか、誰の「ルート」に進むかは、キャリアを大きく左右します。
ここでも重要になるのが、自身の「ものさし」です。自分が何を成し遂げたくて、どんな働き方をしたいのか。そのものさしに照らし合わせて、誰と働くのが自分のゴールに最も近いのかを判断します。他人の評価や、その場の空気に流されてルートを選ぶと、望まないエンディングを迎えることになりかねません。
まとめ:状況が動くのを待つのではなく、自分からルートを切り拓け
10年前にゲームに例えて書いていたことは、今、思ったより本質的なことだったと気づきます。
- 自分の「ものさし」を鍛え(自己分析)、
- 「何もしない」時間でそれを磨き(戦略・休息)、
- そのものさしを手に、他者との「ゲーム」を攻略していく(対人関係)。
この3つのサイクルを回し続けること。それが、変化の激しい時代を自分らしく、そしてしたたかに生き抜くための、普遍的な戦略なのかなと。
そして最も重要なのは、このゲームが、ただ配られたカードで勝負するだけのものではない、ということです。君自身の行動一つで、新しい「イベント」を発生させ、他のプレイヤーの行動を変え、時にはゲームのルールそのものに影響を与えることさえ可能です。
状況が動くのを待つのではなく、自ら状況を動かす。その一歩を踏み出すための思考法が、今回まとめた3つの視点です。心を新たに、明日からの仕事でも、「次の一手」を自分から仕掛けていこうと思います。