NHKスペシャル「世界“カイテンズシ”戦争 寿司vsSushi」を見て

日本で生まれた「回転寿司」が今、世界各地で大ブームだ。アジア、欧米や中東で多くの店が並ぶ。かつて高嶺の花だった寿司が「見た目が面白く価格も安い」と庶民に人気の日常食になった。原動力は、日本から進出した大手チェーン。内外250店舗の「元気寿司」は、魚を格安で調達するネットワークや効率的なオペレーションを確立、それを武器に世界で『寿司のマクドナルド』になろうと野望を燃やす。 一方で、海外資本の大手チェーンも誕生。英国の「Yo!sushi」は、日本の寿司とは見た目も味も違う、カラフルな“SUSHI”を武器に、欧州、中東から世界制覇を狙っている。日本伝統の“寿司”と“SUSHI”はどちらが世界のスタンダードになるのか、激しく競う。 寿司ブーム、魚食文化の広がりは、魚の価格高騰などを引き起こす。安価な回転寿司を支えてきたのは、中国の漁業、養殖業。日本の水産業者がこの30年育成し、急成長の続く生産基地では、今や各国、各チェーンが魚貝類を奪い合う。流通量は拡大、取りすぎで、枯渇する魚種も出始めた。 番組は、グローバルに展開する“回転寿司”戦争と、その裏で激しさを増す、水産資源の奪い合い・枯渇などの問題もあわせ、大ブームの行方を見つめていく。
NHKスペシャル|世界“カイテンズシ”戦争 寿司 vs Sushi

つい最後まで見てしまいました。 見た感想をまずは箇条書き。

  • YO!Sushiのロゴが「ソワ!Sushi」にしか見えない
  • エンガワの代替魚が3代目 (過去の代替魚は水揚げなくなったとか言ってますけど、それって乱獲っていうんじゃね?)
  • ザリガニの養殖に力を入れる中国を見て、ナタデココを思い出した (スシがブームに終わらないことを祈ります)
  • 世界中で魚が食されるようになれば、需要と供給の関係から言って値上がりもするよな~

もう少し詳しく、考えたことを書いてみます

1) 代替魚乱獲による生態系への影響は?

中国の水産会社の社長が代替魚探しに一生懸命な姿が映されていました。 回転寿司で代替魚が使われているという知識はあったのですが、過去のエンガワ代替魚がことごとく揚がらなくなっていることのほうが驚きでした。 安く入手できるとなると、とことんまで取り尽くしてしまうんですね。 生態系に与える影響が心配になってしまいます。

放送されたシーンも、回転寿司の会社の人たちが安く仕入れることに頭を使う描写ばかりで、環境のことなんかこれっぽっちでも考えている様子は描写されていませんでしたから。

そうなると、まだしも養殖して「生産」してやるほうがマシに思えますが...

2) 世界的スシブームは続くのか?

中国でザリガニ、アワビの養殖にはげむ業者たち。 養殖ですから、準備にコストがかかります。生産調整も難しいのではないでしょうか。 彼らのコメントから、スシブームは去らないという認識であることがうかがえました。 ほんとかなぁ。 私はこのシーンで、ナタ・デ・ココのことが頭をよぎりました。

1993年の日本でのブームによる消費量の急増により、現地のココナッツ生産者らは特需景気にわき、また需要に供給が追いつかなくなるほどでもあったため、設備投資をして生産力増強を行った。 しかし、生産設備の増強で供給量も増大する頃にはブームが終焉、さらに日本の大手食品メーカーが国内生産に成功したために原産地で加工する需要が激減、生産者らは残った莫大な負債に苦しむ事となった。

ナタ・デ・ココ - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%B3

投資回収できるまで、ブームは続くかな? たとえブームから定着してもどうだろう。 私が経営者だったら、現地で養殖できないか、模索して、できるならそうしたいですね。


しかし、この番組を放送する前に、関連各位は中身チェックしたのかなぁ。 正直、回転寿司と水産業界のイメージダウンにつながる要素がたくさんのような気もします。