武雄や海老名のTSUTAYA図書館が話題です。 オープン直後の盛り上がり以降は、実際に運営が始まってからの疑わしい図書購入、独自分類による現場の混乱など、どちらかというとネガティブな話題を目にすることが多いです。
今までの問題をまとめたような上の記事を読みまして、私がつけたブックマークコメントがこちら。
TSUTAYA図書館に協業企業が呆れた理由 | 企業戦略 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイトb.hatena.ne.jp
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図書館の機能のうち「貸出(提供)」だけにフォーカスした結果が「これ」なんだと思う。「収集」「整理」「保存」は、どこいった。
2015/10/29 12:20
Wikipediaによると図書館の機能は6つ。
- 図書館資料の収集
- 図書館資料の整理
- 図書館資料の保存
- 図書館資料の提供
- 集会活動、行事の実施
- 資料及び図書館利用に関する指導
このうち貸出という形の提供を追求したら、このようなものが出来上がったのだろうなと思ったのです。
ただ「収集」「整理」「保存」「提供」については、インターネットが(というよりGoogle先生が) だいぶ変えてしまったのも事実です。Googleのクローラ(情報収集のためのプログラム)の動作が及ぶ範囲で、収集、整理はオートマチックに行われます。 「提供」は利用者が検索ワードを入力することで、収集整理された情報の中から 保存に関しては「Web魚拓」や「インターネットアーカイブ」が、保存の場としてはあてになるかもしれません。
Internet Archive: Digital Library of Free Books, Movies, Music & Wayback Machine
しかしながら、Googleが集められるのはWeb上にある情報。今現在の流通している情報を追いかけるにはよいですが、過去の情報はありません。過去の書籍を電子化する試みは「青空文庫」や「プロジェクト・グーテンベルク」などがありますが、道半ばです。
Free ebooks by Project Gutenberg - Gutenberg
インターネットにあって、あっさり見つけられるのは「今」の情報ということになると思います。
インターネットにないものを図書館で
- 過去蓄積された知識
- 過去蓄積された知識を物理的な量として表現
- 資料利用に関する指導
- 図書館にある資料にかぎらずインターネットも含めた情報収集の方法
過去蓄積された知識
インターネットにないのは「過去蓄積された知識」です。過去蓄積された知識を本という形で物理的に表現されており「自分が興味が無いけど、存在する知識」というものの存在を体感できるのは図書館が唯一ではないでしょうか。
日本十進分類法のなかで自分の興味がある部分がいかに小さいか、それを知ることで「知らないものはないことといっしょ」という態度から距離を置くことができると思います。
資料資料に関する指導
所詮は素人考えですが、検索へたくそな私としては、リファレンスのプロである図書館の人から、インターネット、図書館ふくめた情報検索のしかたを教えてもらえたら面白いなと思っているのです。
上記のリンク先は2000年当時のものだそうですが、基本的に今話題にあがっていることと変わらないんだな、と感じます。 インターネットという「知の集積」の場ができて、図書館と機能がかぶったときどのようなバランスをとるのがよいのかという試みはまだまだ続いていくということなんでしょうね。