
日々押し寄せるタスク、閃いたアイデア、あとで読もうと思った記事。これらが整理されないまま蓄積していく様は、まるで途中でミスをしたテトリスのようです。ブロック(情報)は降り止まず、適切に処理しなければ盤面(脳のキャパシティ)はいずれ埋め尽くされてしまいます。
私はこの問題に対し、Obsidian上でPARAメソッドとGTDを組み合わせたシステムを構築し、さらにAIによる自動化ワークフローを導入することで、持続可能な知識管理を実現しています。
今回は、このシステムの「設計思想」から「日々の運用の実際」までをご紹介します。 まとめて書いておかないと、自分でも忘れてしまいそうなのでね…。
なぜ「運用」まで語るのか
世の中には優れた情報整理メソッドがたくさんあります。しかし、「良い仕組みは、運用されて初めて価値を持つ」というのが、私がたどり着いた結論です。 今まで三日坊主…とは言わないまでも途中で放棄されてしまった情報整理の方法論が思い出されるところです。 今やっているやりかたはAIツールを活用して、1か月継続できているので、この先も継続できそうな手ごたえがあります。
この記事では、構造の設計と運用の自動化の両輪を回すことで、仕組みを生かし続ける方法をお伝えします。
第1章:フォルダ構成の設計思想——PARAメソッド
まずは情報の「置き場所」を定義します。ここでは、Tiago Forte氏が提唱するPARAメソッドを採用しています。
加えて、GTDの考え方から、最初の置き場所として0_Inboxを設けました。
PARAとは、情報を実行可能性(Actionability)の高さで分類するフレームワークです。

| フォルダ | 定義 | 例 |
|---|---|---|
0_Inbox |
すべての入り口、未処理の情報 | 思いついたこと、Webクリップ、Youtubeサマリ結果、PDF整形結果など |
1_Projects |
「完了」のゴールがある短期的なタスク群 | ブログ執筆、アプリ開発 |
2_Areas |
維持・向上を目指す、終わりのない責任範囲 | 健康、学習、マネジメント |
3_Resources |
参照用の知識・資料 | ワークフローで呼び出すスクリプト、WebClipした際の画像、AIワークフローのログなど |
4_Archives |
完了・休止した項目の保管庫 | 完了プロジェクト、関心を失ったトピック |
なぜこの分類なのか
ポイントは、情報を「今すぐ使うか/いつか使うか/もう使わないか」という軸で振り分けることです。
- ProjectsとAreasは「自分ごと」——行動を伴う能動的な領域
- Resourcesは「外部の知識」——参照するための受動的な領域
- Archivesは「過去の記録」——検索で呼び出すための眠りにつく領域
この境界線を明確にすることで、「このファイルはどこに置くべきか?」という迷いが消えます。
第2章:タスク管理のフレームワーク——GTD
PARAが情報の「空間」を定義するなら、GTD(Getting Things Done)は情報の「時間」を管理します。
[Inbox] → [Process] → [Organize] → [Do] → [Review]
ひとまず、その日に思いついたり、収集した情報については、0_Inboxに置きます。
あとは情報に関して、明確に置き場所が判断できる場合は、自分でノートを移動させます。
特に思いつかない場合は、日次メンテナンスで振り分けるようにします。
詳細は次の章で述べます。
第3章:運用——日次・週次メンテナンス
「システムは放置すると腐る」——これは私が身をもって学んだ真理です。
どんなに美しく設計されたシステムも、メンテナンスなしには機能しません。私のObsidian Vaultでは、以下のルーティンを回しています。
日次レビュー(毎日の終わりに)
- Inboxの確認:
0_Inbox内のファイルを確認 - 処理:
- アクションが必要か? → タスク化 or 適切なフォルダへ移動
- ゴミ? → 削除
- Daily Noteの確認: 書き残したタスクがないかチェック
- ログの記録: 処理結果を
3_Resources/Logs/maintenance/YYYY-MM-DD.mdに記録
週次レビュー(週に一度)
- Projects Review: アクティブなプロジェクトを確認。停滞しているものはArchivesへ
- Areas Review: 各エリア(健康、学習など)のバランスを確認
- Someday/Maybe Review: 保留中のアイデアを見直し、アクティブにするものは昇格
自動化:AIによるメンテナンス支援
私のVaultでは、Gemini CLIを使って日次メンテナンスの一部を自動化しています。 cronで毎日実行するシェルスクリプトを用意してあります。中では、Inbox内のファイルを分析し、適切なフォルダへの移動を提案・実行するAIワークフローを呼び出しています。
crontab -l 30 23 * * * /home/atauky/projects/obsidian/3_Resources/Scripts/daily_maintenance.sh
AIがInbox内のファイルを分析し、適切なフォルダへの移動を提案・実行してくれます。メンテナンスログも自動で記録されるため、後から「いつ何を処理したか」を振り返ることができます。
第4章:運用——AIワークフローで知識を収集、整理する
私のObsidian運用における最大の特徴は、「インプットを自動的に構造化ノートに変換する」ワークフロー群です。
これらは .agent/workflows/ ディレクトリにMarkdownで定義されており、AIツールから呼び出すことができます。
主要なワークフロー
| ワークフロー | 機能 |
|---|---|
/youtube_summary |
YouTube動画のメタデータ・字幕を取得し、要約ノートを生成 |
/pdf_to_markdown |
PDFをMarkdownに変換し、Obsidianで活用可能にする |
/clippings_processing |
Webクリップ記事を要約・タグ付け・整理 |
/new_term_research |
新しい用語を調査し、検証済みの参照元を含むノートを作成 |
/blog_creation |
ブログ記事の執筆を支援(トンマナ定義含む) |
AIツールの役割分担
私は2つのAIツールを使い分けています。
Gemini CLI (Antigravity): Vaultの管理人・知識プロセッサー
- 広大なコンテキストを活かしたVault全体の横断的な検索・分析
- インプット処理(YouTube/PDF等の知識抽出)
- ルーチン自動化(日次・週次メンテナンス)
Claude Code: 精密エンジニア・バグハンター
- 文書作成
- 新機能の開発、複雑なロジックの実装
- 複数ファイルにまたがる難解なバグの特定と修正
実際の使用例:YouTube動画を知識に変換
たとえば、興味深いYouTube動画を見つけたとき:
gemini -y "/youtube_summary https://youtu.be/xxxxx"
これを実行すると、AIが: 1. 動画のメタデータ(タイトル、チャンネル、公開日)を取得 2. 字幕をダウンロードしてクリーニング 3. 内容を要約し、構造化されたMarkdownノートを生成 4. 適切なタグとサムネイル画像を付与してVaultに保存
動画を直にみると30分かかることが、生成された文章を読めば数分で完了します。 興味深そうな内容であれば、あらためて動画を見に行ってもよいでしょう。
実際の使用例:ブログ記事の草稿作成
たとえば、なんらかのテーマでブログを書きたいと思ったときに
claude -p "/blog_creation ○○をテーマにしたブログ記事を作成したいです。構成案を作成してください。"
これを実行すると、AIが以下の作業を実行するようワークフローを組んでいます。
- 記事を要約し、構造化されたMarkdownノートを生成
- 適切なタグとサムネイル画像を付与してVaultに保存
手動で行ってもたいして時間がかかるわけではありませんが、面倒で取り掛かりのハードルなる作業が、数十秒で完了します。
第5章:同期と管理——GitHubという選択
Obsidian Vaultをどこに保存し、どう同期するか。これも運用上の重要な設計ポイントです。
私はGitHubを選択しました。
クラウドストレージ同期の課題
DropboxやiCloud Driveなどのクラウドストレージは手軽ですが、以下の課題があります:
- 同期コンフリクト: 複数デバイスで同時編集するとファイルが競合
- 差分が見えない: 何がいつ変わったか追いにくい
- 履歴が限定的: 過去の状態への復元が難しい
Gitで管理するメリット
- 完全な履歴: 全ての変更がコミットとして記録される
- ブランチ: 実験的な変更を安全に試せる
- 差分レビュー: 何がどう変わったか一目瞭然
さらに、私のVaultにはスクリプトやワークフロー定義ファイルも含まれています。ドキュメントとコードが同居するこの構成は、まさにGitで管理するのに適しています。
詳細なやりかたはこちらの記事でも紹介しています。
まとめ
本記事では、私のObsidian運用について、設計思想から日々の実践までを解説しました。
構造(PARA)× フロー(GTD)× 自動化(AI) → 持続可能な知識システム
この組み合わせが、私の「第二の脳」を支えています。
重要なのは、「運用」を設計することです。仕組みを作って終わりではなく、それを回し続けるためのルーティンと自動化を組み込むことで、システムは生き続けます。
知識は、活用されて初めて価値を持ちます。 あなたのVaultにも、このエッセンスを取り入れてみてはいかがでしょうか。