モンテビア山形・佐倉監督に学ぶ経験のない職場でリーダーになる方法

「GIANT KILLING」13巻表紙より、左が達海監督、右が佐倉監督

GIANT KILLING 13巻表紙

佐倉監督とは

佐倉監督は、プロサッカー監督・達海猛が主人公である漫画「GIANT KILLING」の登場人物の一人です。 達海猛は、元々名の知れた選手で自分の出身チームであるETUで監督をつとめています。

GIANT KILLING 20巻 #188

佐倉監督は、達海監督と対比されるようなキャラづけがされていて、ボールを蹴ればミスってばかりのサッカー選手としてはまったく実績がない人です。事務員から始めて、ついにモンテビア山形トップチームの監督になり、2年で二部リーグから昇格、3年目のシーズンを一部リーグで迎えています。

今回注目したいのは、選手として実績のない佐倉監督が、選手の心をつかんでいく過程です。 自分が担当したことがないシステムや職場でリーダーとなるときに応用できるのではないかと考えた次第。

ポイントは3つ。

  • 「信頼」選手を徹底的にリスペクトする
  • 「情熱」キーマンであるベテラン選手とエースの心をつかむ
  • 「方針」ビジョンを示して人事権を持つ人にはたらきかける

1つずつ順を追って見ていきましょう。 以下、本編のネタバレも含まれますのでご注意を。

「信頼」選手を徹底的にリスペクトする

佐倉監督は選手を徹底的にリスペクトしています。 自分はボールもまともに蹴れない選手ですので「サッカーが上手い」のは当然選手たちのほうであるという姿勢を貫いています。

GIANT KILLING 21巻 #199

信頼というのが大事なポイントでこれをはずすとなにもかもうまくいかない。 外から入ってきた人がリーダーとなる場合、現場をまわしてきた実績や知見を尊重する姿勢がないと当然のことながら反発を喰らうのだろうなと思います。

そのリスペクトの気持ちが今一つ通じていなかった「選手経験がない監督が現場のことわかるわけないじゃん」という態度だったエースも「攻撃的センスへの信頼」を示すことで、心を開くようになる描写があります。

GIANT KILLING 21巻 #198

やはりキーワードは信頼。今まで小言ばかり言われていて信頼されているということがわかっていなかった選手の態度がここから変わりますが、それはまた別の話ということで。

「情熱」キーマンであるベテランの心をつかむ

最初は選手経験がない監督のことを、疑いの眼差しで迎えた選手たちですが、実績十分のベテラン選手が緩衝材になって監督の意図を選手たちに伝える役割を買って出ています。

GIANT KILLING 20巻 #196

おそらく練習中にも「このチームはもっと強くなれる」とか「我々の経験からすれば…」などと前置きをしてポジティブなメッセージを発信し続けているものと想像されます。 彼らも「助っ人」の立場ですので、勝利のためにできることはやってくれたでしょう。

GIANT KILLING 19巻 #185

ベテランの心をつかめた原因として佐倉監督は述懐のなかで「情熱」という言葉をあげています。 佐倉監督がベテラン選手ふたりとどのような会話を交わしたかわかりませんが、少なくとも「我々はサクラを信じる、サクラも我々を信じろ」に近い言葉を引き出せたのではないかなと思います。

GIANT KILLING 20巻 #196

「方針」ビジョンを示して人事権を持つ人にはたらきかける

先程あげたコマで注目したいのがベテラン選手ふたりについて「私の就任と同時に加入した」という述懐です。 佐倉監督目線でいえばそのような表現になりますが、実際に選手を獲得するモンテビア山形のフロント陣からすると「佐倉監督の就任にあわせて獲得した」ということになります。

これは佐倉監督のために「佐倉監督が現場で苦労しないよう」獲得した選手ということになります。 山形のフロントがこれだけ佐倉監督にかける気になったのか詳しい描写はありませんが、社長に今後のチームのビジョンを訴えたシーンが伏線なのだろうと考えます。

GIANT KILLING 20巻 #190

サッカーの監督は試合に出る11人とベンチ入りする選手は選べますが、あくまで選択肢はチームに所属する選手のなかから。選手を獲得してくるのは強化部などフロントです。 実際の会社組織にあてはめると、人事権を持つ上位の人達に対して「こういう人達がほしい」というためには、今後のチーム・グループ・課・部といったものの方針、方向性を示すことでその理由付けをする必要があるということになります。

総括

以上見てきたとおり、「信頼」「情熱」「方針」をキーワードに佐倉監督のチーム掌握過程を追ってみました。 自分自身の現在の仕事は「元々いたチームで監督やっている」状態ですので、佐倉監督よりは達海監督に近い立場にありますが、今いるチームを追い出された後も、慣れぬ環境でチームをまわしていくために、佐倉監督の仕事ぶりを心にとめておこうと考えた次第です。

佐倉監督率いるモンテビア山形と達海監督率いるETUの一戦は19巻から22巻にかけて描かれています。

GIANT KILLING(19) (モーニング KC)

GIANT KILLING(19) (モーニング KC)

GIANT KILLING(20) (モーニング KC)

GIANT KILLING(20) (モーニング KC)

GIANT KILLING(21) (モーニング KC)

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GIANT KILLING(22) (モーニング KC)

GIANT KILLING(22) (モーニング KC)