ゲームをやっているとバカになるとか子どものころ散々言われましたが、実際のところゲームを通じてつかんできた感覚が仕事につながっているところがあるなと思って、こんなエントリをしてみることにしました。
信長の野望
パソコンを買ってもらったとき、特にやりたいな...と思っていたのは、信長の野望、三國志などの光栄歴史SLGです。 『信長の野望・武将風雲録』と『信長の野望・天翔記』は、ずいぶんプレイ時間も長かったと思います。 今回は特に現在の仕事の感覚に近いと思う『天翔記』について取り上げます。
ポイントは「自分の行動力の限界」「人に任せる」です。
天翔記のシステムの特徴
信長シリーズで、もうひとつやりこんだ『武将風雲録』との比較で『天翔記』の特徴を示します。
軍団制・行動力
『武将風雲録』では、コマンド入力の単位は「国」であり、ターンは月ごとに回ってきます。また、行動力は「政治」分毎月回復していました。 『天翔記』では、コマンド入力の単位は、複数の城を治める「軍団」であり、ターンは季節ごとに回ってきます。行動力は、「政治」+「戦闘」+「智謀」)÷6+「野望」÷2 だけ回復する。総合的能力と野望が問われるようになりました。
身分
『武将風雲録』では、武将はみな最大兵100を指揮できます。 しかし、『天翔記』では、「足軽頭」「侍大将」「部将」「家老」「宿老」をいう身分があり、内政や戦争で勲功を稼ぐことで身分が上昇し、「宿老」になってやっと大名と同じ兵100を指揮できるようになります。 血縁関係になる「一門衆」は勲功があがりやすいです。娘を嫁がせれば、他人でも「一門衆」にすることができます。
武将の能力
『武将風雲録』では、最初から能力は決まっていて、なかなか上げるのは難しかった。 『天翔記』では、「政治」「戦闘」「智謀」について、実効能力と能力上限「才能」に別れ、コマンドを実行するごとに、経験値を積み、実効能力を上昇させるシステムとなりました。 どんなに優れた才能の持ち主でも、成年到達して登場した時点では実効能力が低いです。
仕事に通じるポイント
仕事を他人(COM)に任せなくてはならない
『武将風雲録』であれば、すべてのコマンドはプレイヤーが入力できました。最前線はすべて自分でコマンドを入力したりして、安定した領国経営を行うことができました。 ところが『天翔記』では、大名がコントロールできる一つの軍団だけでは行動力を賄えなくなり、なんのコマンドも実行しない、遊んでいる人材が増えてしまいます。
必然的に軍団長を任命し、おおまかな指示を与えた上で、コンピュータに軍団経営を任せることになります。 『天翔記』ではコンピュータがやたらと好戦的なので、こちらから仕掛けなくても、敵が仕掛けてきた戦争に巻き込まれることは日常茶飯事です。負け戦のときには他の軍団に人材と兵士を派遣せねばなりません。 仕事を任せた部下(軍団長)の尻拭いは上司(大名)の仕事になります。
仕事を任せる人を選ぶ
適材適所というよりは...能力、のびしろがあると見込んだ人に仕事をして、経験を積んでもらうという意味で選びます。 稼げる勲功が限られているというのは、現実世界の仕事と同じです。 能力が高く出世させたい人物には、一門衆にしたり、本丸の占拠や内政でのコマンド実行など勲功を稼ぐ機会を与えることで地位の向上を促します。 現実では「能力」「才能」は見えないですが、普段の仕事ぶりを見て、この人に仕事を任せたいと思う人材は結構かぶるんではないでしょうか。
世代交代・人材育成の意識
『天翔記』システムだと、序盤から仕えてきた家臣は能力も地位も高くなります。 しかし、いつまでも彼らに頼っていてはいけないのです。 大名にも寿命がありますので、後継者を意識して才能が高い武将を一門に迎え英才教育を施さねばなりません。 後継者の能力が低いと、前線の軍団経営に支障を来します。
実効能力が高い武将を教育係にして、実効能力の底上げを企ることも大事です。 前線を任せたCOM軍団長が、戦争に負けてしまうと、家臣を敵に持っていかれてしまいます。 そんなわけで、そこそこの実効能力を持った家臣の需要は尽きることはありません。 後方の軍団に教育係を配置しておくのもよいでしょう。軍団への指示として「教育」もあります。
まとめ: 企業経営に通じるゲーム
こうして見ると、企業経営ゲームとしての側面を『天翔記』には強く感じます。 最初は、社長自ら手を下していたようなことも、徐々に自分のコントロールが直接及ばない人に仕事を任せていかなくてはいけません。 社長でなくとも、自分の仕事をする範囲についても同様のことが言えます。自分がやっていた仕事を他人に任せない限りは、いつまでもその仕事をしているしかないのです。
大きな勢力になれば、軍団長を集めて会議して、おおまかな指示を伝えたりすることや、敗戦の尻拭いに「行動力」を消費してしまいます。人に任せたときのオーバーヘッドです。当然、大名自ら最前線で指示できることに限りが出てくるので、適正な規模に各軍団を調整せねばなりません。 これは、取締役会などの感覚、部門ごとの役割と人員の配置ということにつながるのではないでしょうか。
PSP版も発売されていますので、興味があるかたは是非どうぞ。 光栄(現・コーエー)の歴史SLG史上最高のゲームだと思っています。
- 出版社/メーカー: コーエー
- 発売日: 2008/07/10
- メディア: Video Game
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