質問される側から考える、質問のスキル

「質問のスキル」といってもコーチングで出てくるそれとは違うかも。

現在の会社で働くようになってから6年以上が経過し、今のチームで働くようになって4年半が経過しました。 その間チームに新卒の後輩、他チームから移籍の新メンバーが入ってきたりして、質問をされることも多くなりました。今年に入ってからは質問されまくりです。 質問をする側だったときには、あまり意識したことがなかったのですが、質問される側に立つと回答しやすい、うまい質問のしかたというのはあるんだなぁという思いです。 感じたことをまとめてみます。

質問の内容

SIer勤務の私です。 後輩、もしくは、新しく入ってきたメンバーから寄せられる質問の内容は大きくわけて二つです。

1) 技術的なこと ・Webサーバ(apache)の設定とか、DNSサーバの挙動とか 2) 業務上の判断 ・テストケース成否の判断、障害対応内容の判断など

技術的なこと

回答のスタンス

後輩、ことに業務の経験がない新卒で入ってきた人を、ひとりで仕事をできるように仕込むことを目的に回答しています。 なので、直接の答えを与えることはなるべくしません。 後輩ひとりで調べ、回答をひっぱり出せるアクションができるようにすることが目標です。

答えやすい質問

この質問で困るのは、「質問者がどこまでわかっているのかわからない」と適切な答えができないということです。

なので答えやすい質問は、質問者の理解がどれほどであるのか示してくれることです。 a)実現したいことはなにか b)何を、どう調べたか (「○○という本を調べた」、「××というキーワードでググった」、「ベンダーに質問した」など) c)そして現状わからないことはなにか を踏まえた質問ということになります。

a)のポイントがあいまいであれば、もう少し具体的にすることで求める回答にたどりつけることになるでしょう。 b)のポイントでそもそも調べていなければ、「ググれ」「マニュアル読め」の一言です。 調べているものがよくなければ、ある程度のヒントを出すようにしています。

業務上の判断

回答のスタンス

こちらの質問では、自分自身でどうアクションすべきか考えるようにするのが目標になります。 しかし、判断基準にチーム内でぶれが出ることは、お客さんからみて、ぶれが出ることになるので避けなくてはいけません。 新メンバーで入ってきた人と、元からいるメンバーで判断の基準がなるべくぶれないようにすることが目的です。

答えやすい質問

判断を求めるときには、Yes, Noで回答できる質問にすることです。

「○○というテストケースで、接続先のシステムの応答が××という結果になったが、仕様書には▲▲という記述があり、OKとしてよいと考える。OKとしてよいか?」 というように a) 今ある事実 c) 判断の根拠 b) 判断結果 を示してもらえれば、Yes,Noで回答が可能です。

「どうしたらよいでしょう?」に対しては「どうしたらよいと思う?」と質問返しすることにしています。 自分で考えることが大事だと考えるからです。

質問を記録する

質問されることが多くなってから、誰からどんな質問をされたか、記録するようにしました。 「同じような質問をしてくるんじゃない!」という意味をこめて、チームのメンバーにも公開しています。 自分が他の人に質問したことも同様にまとめています。

記録しているうちに、これは外部に示す仕様書に記述が必要ではないか、とか、マニュアルでまとめる事項ではないか、とか考えるようになり、チームで仕事をするために必要なアウトプットというものも見えてきたような気がします。

まとめ

質問のスキルを、質問の内容をふたつにわけた観点から、考えてみましたが、さらにまとめることができそうです。 それは、「質問者が思考の過程を示す」ということです。 もちろん、そういう質問が出てくる背景には、「質問される側が思考の過程を残していない」という問題があるように思います。 思考の過程を残していくという意味でも、質問の内容を記録しておく価値があると考えて、活動を続けています。

でも、思考の過程が残っている設計書なんか、見たこともないや。