新入社員研修の担当者になった
この4月は、システム開発の現場を物理的に離れて、新入社員研修を担当しています。 なにをしているかというと、新入社員約40名で構成されるクラスの「担任の先生」のようなものです。
私自身、仕事において人前で話すことはありますが、よくあるシチュエーションは
- システムがらみの顧客への進捗報告・提案などの会議を仕切る
- 相手は3人から10人程度
- そのうち、主に見る相手は顧客のキーマン
- 紙の資料を見ながら話す
というものです。
ところが、今回私が求められた役割で想定されるのは
- 講座を仕切る
- 相手は約40人
- 誰を見ていいのかよくわからない
- プレゼン資料はプロジェクターに映っている
という状態です。
さて、このギャップをどうするか…
というわけで、
- 40人の前で話す(プレゼンテーション)
- 講座を仕切る(ファシリテーション)
それぞれで意識して、実践してきたことをまとめてみます。
40人の前で話す(プレゼンテーション)
自己紹介や講座内容の説明、朝夕の連絡事項の連絡などで40人を相手にプレゼンテーションをする場面があります。 プレゼンテーションについては、事前の準備で「伝えたいこと」を自分に叩き込むことがなにより大事だと考えています。 そして本番の立居振舞いで伝える精度を高めるという考え方です。
参考にした本はこちら。
- 作者: HRインスティテュート,野口吉昭
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/07/01
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事前準備
- 「伝えたいこと」はなにか確認する
- 「伝えたいこと」にふさわしい資料・話の構成になっているか確認する
- プレゼンテーションの練習をする
ちょっとした連絡事項であれ、自己紹介、講義の資料であれ、相手に伝えたいことがあるはずです。 相手に伝えたいことが、伝わるかどうかに焦点をおいて資料を準備します。 そして、可能なかぎり声に出して練習をします。
人前にたったあと
- へその下(丹田)を意識する
- 語尾で言い切ることを意識する
- 表情を意識する
まず、見た目と発声。丹田を意識することで、姿勢と腹式呼吸を同時に整えることができるので、人前にたったときには、最初にへその下に集中します。 丹田 - Wikipedia
そして、語尾を言い切る形にしないと、自信ないような印象を与えてしまいますので、言い切ってしまいます。 (言い切って、間違っていたら謝ります)
表情は鏡の前で練習してみましたが、やってみて驚きました。鏡の前で笑顔になろうとしても、表情が動かないのです。顔の筋肉がこわばっている感じがしました。人前に出る前に、顔のマッサージをすることで少しでも表情が動くように意識しています。
まとめると「経験値上昇中☆」の歌詞にもあるとおり、♫伝えたいキモチを伝える努力しよう、息切れしないように深呼吸してね♫ です。
講座を仕切る(ファシリテーション)
参考にした本はこちらです。
ビジネススクールで身につける思考力と対人力―ポケットMBA〈1〉 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 船川淳志
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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11章「ファシリテーター・スキル」に記述があります。 ファシリテーターそのものは、会議に参加して進行調整の助けをする人という意味で用いられますが、本書の記述を見ると講座を仕切るのも似たようなものだなと感じたので参考にしています。 ファシリテーター - Wikipedia
本書を参考に、話す、尋ねる、聴く、まとめるの場面ごとに意識することを3つずつまとめて、研修の場に立っています。
話す(Tell)
話すときに気をつけることは以下のとおり。
- 話のペースを意識して変える
- 聞き手の理解度を確認しながら話す
- 「とりあえず」「一応」を言わない
特に2,3について、私は失敗しがちなので、強く意識をして、場をしきるようにしています。 2は、ときどき「先に進んでもOKか」を確認するようしています。
尋ねる(Ask)
- 「どうでしょうか」を連発しない
- 人を指名して質問をするときには「ちょっと間をあける」
- 特定の人に偏って質問をしない
単調な質問は避けたいです。 受講者の立場からすると「どうでしょうか」とばかり質問されても「どう」ってなんだよ…という気分にさせられます。 時折まとめもはさみつつ、確認の質問をはさむなどして、理解をうながすようにすすめることも必要というのが実感です。 ただ、1,2をやらずに、いきなり「〇〇さん、どうでしょうか?」やっても、素直な傾向があるのか、なんとか返事を返そうとしてくれます。(^^; 3を気にすることにかけては、授業参観のときの先生並です。
聴く(Listen)
- 相手が話しているときは、相手の顔を見る
- 相手が話しているときは、最後まで話を聴く
- 聴いた後に相手の発言を要約する
1,2などは現場の仕事中の会話では守れていないですね。PCの画面を見ていたりして、 相手の目をみてしっかりとコミュニケーションをとるようにしたいです。 3は研修の講師として、全体の理解をうながすために必要です。
まとめる(Analyze)
- 質問と意見を混同する
- 事実と意見を混同する
- 論理的に説明できない「ひらめき」に頼る
メールで文章を書くときには「自分の意見」を混同しないように意識しやすいですし、送信前に推敲することができますが、人前で発言するときには、強く意識していないとできません。 また「ひらめき・直感した」ことについても、きちんと論理的な説明ができないと、説得力を持てません。
以上の事項を踏まえて、過去に受講した研修の講師の姿を思い出して、どのように仕切っていたかを思い出すことから始めました。でも、そうすると、ギャグがすべっているシーンとか、ロクでもないことばかり思い出すんですよね…
実際にやってみて
プレゼンテーションは、なんとかなっていると思います。 自分でコントロールできることが多いですから。 事前に準備して、話す内容、伝えたい内容を整理しておくだけでも、なんとなくうまくできそうに思えるものです。
ファシリテーションは、厳しいです。 相手があることですから、うまくできるようになるには、それなりの場数を踏まないといけないと思います。 特に「尋ねる」が難しいです。意見が出てこないときの質問のバリエーションをもっと持つ必要があると感じています。 いつも「何か意見はありますか?」だけでは芸がないですからね。 もっと引き出したいときに、前の回答に乗っかる、こちらから水を向けるなどの方策が必要そうです。
でも、なによりつらいのは立ち仕事だということです…こしがいたい。 普段座ってばかりの仕事だとこうなってしまうんですね。